ビジネス寓話
レンガ積み
生きる目的を見出すために世界中を回っている旅人が、ある町はずれの1本道を歩いていると、1人の男が道の脇で難しそうな顔をしてレンガを積んでいました。
旅人は、その男のそばに立ち止まってたずねました。
「ここでいったい何をしているのですか?」
すると、男はこう答えました。
「見ればわかるだろう。レンガ積みをしているのさ。毎日毎日、雨の日も強い風の日も、暑い日も寒い日も1日中レンガ積みだ。なんでオレはこんなことをしなければならないのか、まったくついてない。」
旅人は、その男に「大変ですね」と慰めの言葉を残して、歩き続けました。
しばらく行くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会いました。
しかし、その男は、先ほどの男ほどつらそうには見えませんでした。
そこで、また旅人はたずねました。
「ここでいったい何をしているのですか?」
すると、男はこう答えました。
「オレはね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これがオレの仕事でね。」
旅人は「それは大変ですね」と、いたわりの言葉をかけました。
すると、意外な言葉が返ってきました。
「なんてことはないよ。この仕事でオレは家族を養ってるんだ。この仕事があるから家族全員が食べていけるのだから、大変だなんて言ったらバチが当たるよ。」
旅人は、その男に励ましの言葉を残して歩き続けました。
さらにもう少し歩くと、別の男がいきいきと楽しそうにレンガを積んでいました。
旅人は興味深くたずねました。
「ここで、いったい何をしているのですか?」
すると、男は目を輝かせてこう答えました。
「ああ、オレたちのことかい?オレたちは歴史に残る偉大な大聖堂をつくっているんだ。」
旅人は「それは大変ですね」と、いたわりの言葉をかけました。
すると男は、楽しそうにこう返してきました。
「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだ!素晴らしいだろう!」
旅人は、その男に励ましの言葉を残して歩き続けました。
さらにもう少し歩くと、ひとりの職人が指示を出し、その指示に従っててきぱきとレンガ積みをしている集団に出会いました。
旅人は興味深くたずねました。
「ここで、いったい何をしているのですか?」
すると、指示を出していた男はこう答えました。
「ああ、オレたちのことかい?オレたちは歴史に残る偉大な大聖堂をつくっているんだ。
活用法を構築しお金も先に頂いているから、複数の職人と効率よく仕事が出来るのさ」
旅人は「それは大変ですね」と、いたわりの言葉をかけました。
すると男は、楽しそうにこう返してきました。
「大変なんてとんでもない、この手法で大聖堂をたてるのはこれで30件になる。慣れたものさ。俺たちはこれによって収益を受け、ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだ!素晴らしいだろう!」
旅人はその言葉に感銘を受け、自身の生きる意味をそこに見出し、その集団に加わることを志願しました。